第 1 話
「異次元の女戦士」
私は…あ、いや、アタイは『異次元の女戦士』。名前の通り、遠い別の次元がアタイのねぐら。
戦場で相見えた敵をかたっぱしから次元の彼方に連れ去ることがアタイの『能力』。
…今もアタイの『マスター』は敵の決闘者と決闘の最中。戦線は拮抗している。アタイは構えを取りつつ、眼前の敵たちを睨みつける。
モンスターの数も拮抗していた。総力戦になったらこっちが不利…か?そんな気がする。
マスターは考え込んでいる。召喚? 魔法? 罠? セット? いろいろな行動の選択肢があるのだろう。手札のカードを見つつ、唸る。
あ、マスターが何かカードを伏せた…とはいえ、こちらからは何のカードかは見えないし、アタイのすることはマスターの指示に従うことだ。そこまで考えなくていい。
元々、アタイは頭が悪い。敵に特攻(ぶっこ)んで、獲物を拉致る。それがアタイの精一杯。考えるのはマスターのすることだ、アタイは駒だ。
『んー…どうしようかな…ここは…』
やはり考え込んでいる。ああもう! ウジウジ考えてる暇があったらさっさと指示をくれよ! 暇でしょうがないじゃないか!
…とか、心の中で思いつつも、睨みは解かない。そりゃそうだ。向こうさんだってやる気満々だ。殺気がオーラになってこっちに流れてきそうだ。
煙草は苦手なんだよ、アタイ…。や、別に煙ったいわけじゃないんだけどさ。嫌なオーラが渦巻いている。改めてやる気満々だ、敵さん。
やがて、長い逡巡の後、マスターはアタイに指示を下した。…考えるのが長すぎんだよ、このウスノロマスターめ。
『異次元の女戦士の効果発動! 対象は…』
やっと出番だ。アタイの「能力」を使う時がきた。
マスターの指示通り、1体のモンスターにアタイは突っ込んでいく、そしてその身体をひっつかんだ。
「……!」
つかまれた敵は何も喋らない。だが、恐怖のようなものが滲んでいる。
アタイは不敵に笑う。
「さあ、アタイと一緒に異次元旅行と洒落こもうじゃないか? お代はアンタの命だ! キッチリ支払ってもらうぜ?」
「……!!」
やはり何も喋らないが、怯えているのは分かった。ま、それもそうだな。
「帰りの切符なんて無え。欲しけりゃテメェで探してみるんだなッ!」