第 3 話

「ブラック・ローズ・ドラゴン」


フィールドに黒い風が吹いていた。別に瘴気が立ち込めているとかそういうわけじゃない。ただ、そんな気がするのだ。夜を思わせるような、そんな空気が淀んでいる。
我は『夜薔薇の騎士』。
そして我が主は、何やら考えている。しかも不敵な笑みを浮かべて。
『よし、準備は整った…。』
やはり不敵な笑みを浮かべながら、我が主は言った。
何となく…本当に何となくなのだが分かった。我が主は『あれ』を呼び出すつもりなのだ。
なるほど…と、なれば我が命喜んで差し出さねばなるまい。我が主が勝利することこそ我にとっての至上の喜びなのだから。
こちらの場には、我の他に何やら変な植物がいる。『ポタニカル・ライオ』とかいう奴だ。
こいつと一緒に墓地に行くのか…ちょっとイヤだが仕方がない。全ては我が主のためだ。
『「ポタニカル・ライオ」と「夜薔薇の騎士」を墓地に送り―――シンクロ召喚!』
どうやら『あれ』を召喚したようだ。さて、我は次の出番があるまで、しばし眠ることにしよう。後は任せたぞ……
『ブラック・ローズ・ドラゴン!』


……ああ、マスターがお呼びか。では、一暴れするとしよう。
私は『ブラック・ローズ・ドラゴン』。
直訳すれば黒い薔薇の龍? とかいう訳になるようだが、全身赤い。……これでブラックローズとはいやはや。
それはともかく、私はマスターによって召喚された。それにより私の『能力』が発動した。
互いのフィールドにいたモンスター、そしてその向こうに伏せられ、仕掛けられていた「モノ」。……全てが吹き飛んだ。
どうやら向こうに発動できる物はなかったようだな。良し良し。
相手のフィールドがガラ空きになる。マスターも、その隙を見逃すはずがない。
それは、いいのだが…この能力は私自身も、こちらのカードも全て破壊されて消えてしまうのが欠点だ。本当に一瞬しか暴れられなかった。
まあ、いい。この後マスターがどうするかは知らんが、我がマスターであれば何か手を打っているだろう。
我ながら楽観的だが……甘いかな……?
そんなことを考えながら、私は墓地へ沈んでいった。